ファイヤープロレスリングZ - 概要
シリーズで何度目かわからない、「引退作」と銘打たれた作品です。
実際、最後にして最高の作品にすべく、パーツエディットのレイヤー対応といった野心的な取り組みや実在レスラーをモデルにしたストーリーモードの搭載など、力を入れた部分がところどころに見うけられます。
その反面、評判の良かった前作をベースにしているはずなのにシステム的に粗が目立ち、さらに試合画面が(当時は)いまいち評判の良くなかった前々作に近い印象だったことから、ファンからは大バッシングを受けました。
確かに引退作と銘打つにはやや力不足気味だったということは否めませんが、現代のSNSアンチバッシングのはしりというべき匿名掲示板での集団暴行の影響もあったように感じます。
とはいえ、この黎明期にあったSNSやまとめページでの意見から次回作につながる改良点が洗い出されて引退撤回、となったところもあるので、まだ救いがある「しごき」程度のバッシングだった、ということでしょうか。
この作品で注目するポイントとしては、近作では当たり前となった「パーツエディットのレイヤー対応」があります。
それまでの作品は、実在する選手のコスチュームをモチーフとしたパーツの中から1つを選ぶ、というシステムでした。
この作品ではベース部分と模様部分を別パーツにし、ユーザーが任意に組み合わせることで新しいパーツが作成できる、という仕様となりました。
とはいえ、まだまだレイヤー分割が甘く組み合わせ数も少なかったことから複雑なパーツを作ることはできず、結局前作までにあったパーツに似通ったものしかできませんでした。
またカラーパレット面の制約で色分けが簡略化されたパーツもあり、コアなファンからすればやや消化不良といった変更点に映ったかもしれません。
細かい点に目を向けると、立ち大技の数が増えたり凶器に関するロジックの追加、フラフラ状態の相手に正面から組むロジック(なぜかそれまで無かった)の追加など、いろいろ良い点もありました。
また試合以外のサイドモードも比較的豊富で、実在レスラーをモデルとしたキャラクターをフィーチャーしたストーリーモードはやり込みがいがあってそれなりに評判が良いものでした。
このよく言えばまだまだ粗削り、悪く言えば幕を引くには中途半端、という「悔恨の作品」こそが、ユーザーが追加データを作り交流する作品を生み出した布石だった、というのはやや考えすぎでしょうか。
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