初音ミク Project DIVA (作品) - 概要
「初音ミク -Project DIVA-」から始まるタイトルの作品はシリーズの冠作品で、ノーツアイコンがターゲットと重なった時に対応したボタンを押す、というスタンダードなリズムゲームです。
リズムゲームとしての面白さとともに毎回見ていて楽しい・面白いPVを提供してくれるのが特徴的で、ゲームクリアをトコトン突き詰めたいコアなユーザーも、PVを眺めながらプレイしたいゆったりユーザーも楽しめるものになっています。
メインとなるリズムゲーム部分以外でも、PVに登場するキャラクターやそのコスチュームを変更できる要素、リズムゲームとは関係のないコミュニケーションモードやミニゲームなど、SEGAらしい遊び要素がちりばめられているのも特徴です。
リズムゲーム面での特徴として、この作品は他のリズムゲームと違い「2次元的譜面」を採用していることが挙げられます。
一般的なリズムゲームはターゲットの配置場所とノーツアイコンの出現場所が固定されている「レール型譜面」で、アイコンの通過位置が決められています。
このタイプの譜面は制作する側もプレイする側も難易度が低めで、短めの期間で追加譜面データをどんどん配信できるうえ、プレイする側も画面の一定範囲を集中して見ていれば初見でもある程度クリアしていける特徴があります。
しかしこの作品のターゲット配置場所は画面の広い範囲に及んでいて、ノーツアイコンの発生場所も画面端の4辺からとなっています。
その上ターゲットは初めは非表示状態、表示されるのはノーツアイコンが通過する少し前のタイミングということで、かなりの集中力で譜面を覚えないと低難易度でもプレイできない、という特徴があります。
さらにノーツの種類も豊富で、ボタンを1回押せばOKの短押し(プッシュ・プレス)、一度押して指定位置で話す長押し(ホールド)、スティックをはじいたり指をタッチパネル上でスライドさせるフリック・スライド、そして短押しと長押しを複数のボタンで行う操作(同時押し・同時ホールド・押し&ホールド解除)など、色々なリズムゲームで採用されている複雑操作をかなり初期から採用しています。
そのため遊びやすい譜面を作るにはそれなりの労力が必要で、プレイする側も納得いくプレイができるまでに時間がかかる作品となっているのですが、それがゲームをじっくりプレイしようというところに繋がっていたのではないかと思います。
この攻めの姿勢は作品として煮詰まったであろう現在でも変わっておらず、独特なモーションコントローラーが付属するNintendo Switch版ではコントローラーを振ってターゲットを合わせる変則的1次元の譜面も生みだされています。
初音ミクをはじめとするVOCALOID楽曲の浸透は動画配信サイトにアップロードされた楽曲PVが火付け役の一つになった側面がありますが、その黎明期と同時期にリリースが始まったこの作品もゲーム背景のPVに力を入れています。
シリーズ当初は楽曲で使われているVOCALOIDイメージキャラクターの3Dモデルが簡単なダンスやアニメーションをする程度のシンプルなものでしたが、作品が進むにつれてビデオアニメーションのように複雑で凝った演出のものも増えてきました。
また「2Dで配信されたPVアニメーションの3Dモデルアニメーション化」「実際に行われたVOCALOIDライブコンサートの再現」などバリエーションも増え、PVだけでも楽しめる作品へと昇華されました。
こうして進化したPVの楽しみ方はSNSの爆発的な普及とともに進化し、PVで使用されている振り付けを実際に踊った動画(踊ってみた)など派生的ものにもつながりました。
メインとなるリズムゲーム以外で独特なものとして、初音ミクなどのVOCALOIDイメージキャラクターとコミュニケーションを取るモードが挙げられます。
キャラクターを前面に押し出す最近のリズムゲームではごくごく当たり前になっていますが、リズムゲームを楽しめればよいという硬派な風潮が強かった頃は搭載の検討すらされないような「無駄で不要な要素」で、このモードをやりこんでも得られるのはトロフィーなどのやりこみの証だけとゲーム面でのメリットはありませんでした。
しかしリズムゲームの合間にキャラクターとコミュニケーションを取って息抜きし、またリズムゲーム攻略に戻る、というゲーム内で緩急がつけられるこのシステムは、ゲームを長時間遊び続けてもそれほど苦に感じなくするための一助となりえたのではと思います。
ちなみに遊び要素を排除して回転率を上げる必要があるアーケード版には搭載されていませんが、PVの画面キャプチャーを使って遊べるフォトモードを搭載するなど幅を広げる余地は残されています。
その反面、高いマシンスペックを要求される音声と動画をふんだんに使用する作品だったため、強い攻めの姿勢が裏目に出やすいシリーズでもありました。
例えばこの作品には操作ミスをするとVOCALOID音声が途切れる「ボーカルカット」という仕様がありますが、PlayStation Portableでリリースされた最初期の作品では本体スペックが不足して処理落ちが頻発してしまい、リズムゲームの肝である安定したリズム進行ができない楽曲が散見されました。
(このシステムはマシンスペックが向上するまで搭載されず、搭載されても環境により機能OFFが推奨されていました)
また特定のノーツアイコンを押すと画面上に一筆書きの絵が描かれるというシステムもありましたが、楽曲のリズムと違うタイミングでボタン操作しなければならない場合もあり、評価が低かったのか1作品に登場しただけで消えてしまいました。
この攻めの姿勢は大きなシステム変貌を遂げた派生シリーズ「プロジェクトセカイ(プロセカ)」と引き継がれ、新たな地平を開拓し続けています。
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